harukamuyharukamuy
TOPIXは年初来高値。その4日後、不動産株がそろって年初来安値をつけた
ニュース2026-08-18📖 約11分で読めます

TOPIXは年初来高値。その4日後、不動産株がそろって年初来安値をつけた

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれています
ごまもち
🐾 ごまもち
かぶは あがってるって いってなかった?🐾
あずき
あずき
それがね、上がってるのに、下がってるところがあるの。

不動産株が相次ぎ年初来安値」というニュースを読んだ。

株式市場は好調だと思っていたので、あれっと思った。調べてみたら、同じ週に正反対のことが起きていた。


1. 4日ちがいで、高値と安値

まず、この4日間を並べてみる。

⚠ 同じ週に起きたこと
8月14日 TOPIXが年初来高値
8月18日 三井不動産・三菱地所・住友不動産がそろって年初来安値

相場が悪いのではない。TOPIXは高いところにいて、不動産だけが沈んでいる。

年初からの動きを並べると、差がはっきりする。

📊 2026年の年初来(8月18日終値まで)
 
年初来
高値から
TOPIX
+18.5%
−1.0%
住友不動産
−15.1%
−38.0%
三井不動産
−18.4%
−32.7%
三菱地所
−6.6%
−32.2%
東京建物
−5.4%
−23.7%
野村不動産HD
−5.9%
−21.7%
東証REIT指数
−11.3%
−13.5%
※表は横にスクロールできます
TOPIXは連動ETF(1348)の終値、東証REIT指数は連動ETF(1343)の終値で計算。高値・安値は2026年の年初来

TOPIXが年初から18.5%上がっているのに、三井不動産は18.4%下がっている。その差は37ポイント。

不動産各社の高値は、2月から3月上旬に集まっている。そこから半年で、3割前後を落としたことになる。


2. 下がっている理由は金利。ただし、効き方が2つある

売られている原因は、報道でもはっきりしている。金利だ。

⚠ 長期金利(10年国債の利回り)
2025年8月 1.5%
2026年1月5日 一時2.125%(27年ぶりの高さ)
2026年8月18日 一時2.945%約30年ぶりの高さ)

1年で1.5%から2.9%へ、ほぼ倍になった。1996年以来の水準だという。

上がっている背景は、2つあるという。

💡 なぜ金利が上がっているのか
日銀が9月にも利上げしそう 物価が上がり続けているので、金利を上げて抑えにいくという見方
国の借金が増えそう 消費減税で税収が減るぶん、国債をたくさん発行することになる

②が分かりにくいので補うと、国債も買い手がいて成り立つ商品だ。たくさん出回れば買い手が足りなくなるので、利回りを高くしないと売れなくなる。その利回りが長期金利にあたる。

では、なぜ金利が上がると不動産だけが売られるのか。理由は2つある

💡 金利が上がると、不動産は二重に効く
利払いが増える 借りたお金で建てて貸す商売なので、金利がそのまま費用になる
物件が売れにくくなる ローンを組んで買える人が減るので、値段も下がる

不動産は、借金の量がとにかく大きい業種だ。ビルを建てるにも、マンションを仕込むにも、先に何百億円と借りる。金利が1%上がれば、そのぶんがまるごと費用に乗る。

しかも同時に、買い手のほうも金利で減る。売る先が細れば、在庫の値段も下がる。

ごまもち
🐾 ごまもち
はらうのも ふえて、うれなくもなるんだ🐾
あずき
あずき
そう。両方いっぺんに来るから、株価の下がり方も大きいの。

REIT(不動産に投資する投資信託のようなもの)も、年初来で11.3%下がっている。借りて買って貸すという点は同じなので、同じ逆風を受ける。


3. これは、会社だけの話ではない

ここまでは企業の話だ。でも同じことが、家を買った人にも起きる

借入5,000万円を35年で返す場合、金利によって毎月の返済額はこう変わる。

📊 5,000万円を35年で借りたら(元利均等・概算)
金利
月の返済
総返済額
1.0%
14.1万円
5,928万円
2.0%
16.6万円
6,957万円
3.0%
19.2万円
8,082万円
4.0%
22.1万円
9,298万円
わたしが計算した概算です。ボーナス返済なし、諸費用は含めていません

1.0%から4.0%になると、月の返済は8万円増える。総額では3,370万円の差だ。同じ家、同じ借入額なのに。

もちろん、変動金利がいきなり4%になるわけではない。いまの変動金利は1%台前半で、8月もソニー銀行は据え置き、楽天銀行は少し上げた、という水準だ。


4. すぐには効かない。でも、消えたわけではない

変動金利には、返済額が急に増えないようにする仕組みがある。

📄 変動金利の2つのルール
5年ルール 金利が上がっても、毎月の返済額は5年間そのまま
125%ルール 見直すときも、前の返済額の1.25倍まで

これがあるので、金利が上がってもすぐには家計に来ない。

ただし、2つ注意がある

ひとつは、この仕組みがない銀行もあること。ソニー銀行、SBI新生銀行、PayPay銀行は採用していない。これらは金利が上がるとそのまま返済額が上がる。

もうひとつは、返済額が変わらないだけで、借金が減るわけではないこと。ここがいちばん分かりにくいので、中身を割ってみる。

毎月の返済は、利息元本(借金そのものの返済)に分かれている。金利が上がると、利息のほうが増える。返済額は同じなので、そのぶん元本に回る額が減る

📊 毎月14.1万円を払っても、中身が変わる(残高5,000万円のとき)
金利
利息
借金が減る額
合計
1.0%
4.2万円
9.9万円
14.1万円
2.0%
8.3万円
5.8万円
14.1万円
3.0%
12.5万円
1.6万円
14.1万円
4.0%
16.7万円
−2.6万円
14.1万円
わたしが計算した概算です。5年ルールで返済額が14.1万円のまま据え置かれた場合の内訳

金利1.0%なら、毎月9.9万円ずつ借金が減っていた。それが2.0%になると5.8万円、3.0%では1.6万円しか減らない。

そして4.0%になると、マイナスになる。利息が16.7万円で、返している14.1万円を超えてしまうからだ。毎月2.6万円ずつ、借金のほうが増えていく。年にすると約31万円だ。

計算すると、分かれ目は金利3.4%あたりだった。そこを超えると払っても元本には届かず、足りないぶんは「未払利息」として積み上がっていく。いまの変動金利とは2ポイント以上の開きがあるので、すぐに届く数字ではない。

払っている額は同じなのに、借金だけが減らなくなる。5年ルールは、これを5年間見せないでいてくれる仕組みだ。減らなかったぶんは、あとから返済額に乗ってくる。

ごまもち
🐾 ごまもち
まいつき おなじなら、へいきじゃないの?🐾
あずき
あずき
払う額は同じでも、借金が減らなくなるの。すこし未来に先送りするだけ。

5. わたしは借りていない。でも、持ってはいる

わたしは賃貸派なので、住宅ローンは持っていない。この金利上昇で返済が増えることはない。

でも、他人事でもなかった。

日本の高配当株を117銘柄持っているなかに、不動産も入っている。今回の下げは、わたしの持ち株にも入っている。

💡 今回の下げで思ったこと
TOPIXは年初来+18.5%で高値圏
そのなかで不動産だけが高値から3割前後下げていた
全体が上がっていても、沈んでいる場所はある

117銘柄でリスクを計算したとき、答えは「数」ではなかった。中身がどれだけ散らばっているかのほうが効く、というのがそのときの結論だった。

今回はその実例だと思う。指数だけ見ていたら、この3割は見えない


6. 「金利のある世界」にいるということ

金利がこの先どこまで上がるのか、わたしにはわからない。3%で止まるのか、もっと行くのか。専門家の見方も割れている。

ただ、わからないことと、何もできないことは別だと思う。

未来にどう向き合うかの鍵は、
自分がいまどこにいるかを知ることだ。
どこへ向かうのかは、正確にはわからなくても
The key to dealing with the future lies in knowing where you are, even if you can't know precisely where you're going.
ハワード・マークス(2001年 オークツリーのメモより)

金利の行き先はわからない。でも、自分のローンが変動か固定か、いま何%か、金利で沈む業種をどれだけ持っているかは今日わかる。どれも調べるだけなら5分で終わる。

長いあいだ、借りるのがほとんどタダで、預けても増えない世界だった。それが当たり前だと思っていた。

7月に銀行株の記事を書いたとき「金利のある世界」が戻ってきたと書いた。あのときは、貸す側が儲かるという話だった。

今度は借りる側に来ている。

不動産株が3割下げたのも、返済の中身が変わっていくのも、その入口で起きていることだ。これから何が起きるかは、わからない

それでも、いまどこにいるかは確かめておきたい。


7. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 8月14日にTOPIXが年初来高値。その4日後の8月18日、三井不動産・三菱地所・住友不動産がそろって年初来安値をつけた。年初来ではTOPIX +18.5%、三井不動産 −18.4%で、相場が悪いのではなく不動産だけが沈んでいる
  • 高値からの下落は住友不動産−38.0%、三井不動産−32.7%、三菱地所−32.2%。各社の高値は2月から3月上旬に集まっている
  • 原因は金利。長期金利は2025年8月の1.5%台から、8月18日には一時2.945%へ。約30年ぶりの高さで、1年でほぼ倍になった
  • 不動産に効く理由は2つ。①借金が大きいので利払いが増える ②ローンで買える人が減るので物件も売れにくくなる。同時に来るので下げ幅も大きい
  • REITも年初来−11.3%。借りて買って貸す構造は同じなので、同じ逆風を受けている
  • 会社だけの話ではない。5,000万円を35年で借りると、金利1.0%と4.0%で月の返済は8万円、総額では3,370万円ちがう
  • 変動金利には5年ルール・125%ルールがあるので急には来ない。ただし採用していない銀行もあるし、返済額が同じでも元本の減りが遅くなるだけで、消えるわけではない
  • わたしは賃貸派なのでローンはないが、117銘柄のなかに不動産も入っているので他人事でもない。指数だけ見ていたら、この3割は見えなかった
  • 金利1.0%と4.0%では、返済の中身も変わる。同じ14.1万円を払っても借金が減る額は9.9万円→マイナス2.6万円金利3.4%を超えると、払っても借金が増える(未払利息)
  • 7月に銀行株の記事で「金利のある世界が戻ってきた」と書いたのは貸す側の話だった。今度は借りる側に来ている。行き先はわからないが、変動か固定か、いま何%か、金利で沈む業種をどれだけ持っているかは今日わかる
ごまもち
🐾 ごまもち
さきは わからなくても いいんだね🐾
あずき
あずき
うん。いまどこにいるかだけ、わかってればいいの。
📚 参考にした情報源 ・不動産株の年初来安値:日本経済新聞「不動産株が相次ぎ年初来安値 金利上昇加速で売り」同「住友不動産株価が9カ月ぶり安値 長期金利、30年ぶり高水準で売り」
・長期金利の水準:日本経済新聞「長期金利上昇、一時2.945% 財政懸念や日銀利上げ観測で」同「長期金利上昇、一時2.125% 日銀利上げ加速観測で債券売り」
・株価とリターン:Yahoo Finance の日次終値からわたしが計算しました(2026年8月18日終値まで)。TOPIXは連動ETF「NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信」(1348)、東証REIT指数は「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信」(1343)の終値を使っています
・住宅ローンの返済額:わたしが計算した概算です(元利均等・35年・ボーナス返済なし・諸費用は含まず)
・変動金利の水準:モゲチェック「住宅ローン金利2026年8月の最新動向」
・5年ルール/125%ルール:モゲチェック「住宅ローン変動金利の5年ルール・125%ルールとは?」三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて」
・5年ルール/125%ルールを採用していない銀行:長岡FP事務所「5年・125%ルールなしの変動金利住宅ローンもある・ネット銀行主要3行を徹底解説」
・ハワード・マークスの言葉:Oaktree Capital「You Can't Predict. You Can Prepare.」(2001年11月20日)
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解のシェアであり、特定の銘柄・金融商品・住宅ローンを推奨・勧誘するものではありません。記事中の株価・金利は2026年8月18日時点のもので、その後変動します。住宅ローンの返済額は概算で、実際の条件は金融機関や契約によって異なります。5年ルール・125%ルールの有無も金融機関ごとに違うので、必ずご自身の契約書でご確認ください。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

関連記事

広告
SBI証券 — 日本の高配当株も、1株から買えます

わたしは日本の高配当株を117銘柄持っています。単元未満株なら1株から買えるので、少しずつ業種を散らしていけます。メイン口座はSBI証券で、8年以上使っています。

SBI証券の公式サイトを見る →
TAGS#ニュース解説#日本株#金利
この記事をシェア
🐾 関連記事
ハローワークの求人は民間より1〜2割安い。調べていくと「安い」の正体が見えてきた
ニュース
ハローワークの求人は民間より1〜2割安い。調べていくと「安い」の正体が見えてきた
早期退職が2.5倍に増えた。でも、募集した会社の約7割は黒字だった
ニュース
早期退職が2.5倍に増えた。でも、募集した会社の約7割は黒字だった
警戒していたロックアップ解除。その月、株は3割上がっている
ニュース
警戒していたロックアップ解除。その月、株は3割上がっている
FIREが増えると、インフレになるらしい。FIRE寄りの一人として調べてみた
ニュース
FIREが増えると、インフレになるらしい。FIRE寄りの一人として調べてみた